土地所有者の探索方法と制度の利活用方法を整理したガイドライン
平成28年3月15日(火)に国土交通省から公表された「土地所有者の探索方法と制度の利活用方法を整理したガイドライン」について
このガイドラインは、所有者の所在の把握が難しい土地について、所有者の探索方法と所有者を把握できない場合に活用できる制度、解決事例等について、対応する地方公共団体等の職員向けにとりまとめられました。
◆所有者の所在の把握が難しい土地とは?
不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地
具体的には、以下のような土地を指します。
・ 所有者の探索を行う者の利用できる台帳が更新されていない、台帳間の情報が異なる等の理由により、所有者(登記名義人が死亡している場合は、その相続人も含む。以下同じ。)の特定を直ちに行うことが難しい土地
・ 所有者を特定できたとしても、転出先・転居先が追えない等の理由により、その所在が不明である土地
・ 登記名義人が死亡しており、その相続人を特定できたとしても、相続人が多数となっている土地
・ 所有者の探索を行う者の利用できる台帳に、全ての共有者が記載されていない共有地
◆土地所有者の探索、土地の利活用の円滑化メリット
公共事業用地の取得、農地の集約化、森林の適正な管理、災害復旧等の際に早期に危険が除去される等の効果
ガイドライン概要
(1)所有者探索の基本は、登記情報、住民票の写し等、戸籍、聞き取り調査
一般的な所有者情報の調査方法
・登記記情報(所有権登記名義人等の氏名及び住所)の確認
・住民票の写し等及び戸籍の附票の写しの取得(所有権登記名義人等の現住所・転出・生存状況の確認)
・戸籍の取得(法定相続人の確認)
・聞き取り調査
・居住確認調査
・その他
(2)必要な探索を尽くしても所有者又はその所在が判明しなかった場合には、土地の利活用のための制度を活用
個別制度の詳細
・不在者財産管理制度
・相続財産管理制度
・失踪宣告制度
・訴訟等
・土地収用法に基づく不明裁決制度
・認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例
(3)一般的な所有者情報の調査方法による探索、個別制度の活用を基本としつつ、当該土地の状況、当該土地を利用する主体及び事業の内容ごとに探索方法や解決方法は異なる。
①土地の状況別の所有者情報調査の方法と土地所有者が把握できなかった場合の解決方法
・所有権について時効取得を主張することができる土地
・相続に伴う登記手続が一代又は数代にわたりされていないと認められる土地
・所有権登記名義人等やその相続人が外国に在住している土地
・解散等をした法人が所有権登記名義人等となっている土地の場合
・町内会又は部落会が所有権登記名義人等として記録されている土地
・記名共有地
・共有惣代地
・字持地
・表題部のみ登記がされている土地
・未登記の土地
②事業別の所有者情報の調査方法と土地所有者が把握できなかった場合の解決方法
・社会資本整備
・農用地活用
・土地改良
・森林整備・路網整備等
・地籍調査
・地縁団体が行う共有財産管理
・その他の民間で行う公益性の高い事業
(4)東日本大震災の被災地における、所有者の所在の把握が難しい土地の取得の加速化の取組は、運用改善により対応したものも多いことから、平時における用地取得等の参考にもなる。
東日本大震災の被災地における用地取得加速化の取組
・地方公共団体の負担軽減のための取組
・財産管理制度の活用
・土地収用制度の活用
(5)費用、補助制度、相談窓口等、円滑な探索や制度活用のための基礎的情報の整理
所有者の探索や制度活用に係る費用と相談窓口等について
弁護士や司法書士と共に、不動産鑑定士も協力致します!!
不動産鑑定士
・不動産の鑑定評価業務
・不動産の利用や取引等に関する相談業務
報酬について
不動産の鑑定評価に係る報酬の金額は、業務ごとに対象不動産の類型・規模・等により依頼者との契約によって決定されます。
(6)所有者情報に関連する市区町村の担当部局を中心に取り組まれることが望ましい対策の整理
所有者の所在の把握が難しい土地を増加させないための取組
・相続登記と所有者届出の促進
・情報の共有
・地籍調査結果の登記への反映等
・所有者届出制度の概要(参考)
ガイドライン詳細は以下のホームページをご覧下さい。
http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/iten/shoyusha.guideline.html
更新日:2016年3月22日